myjoao4
myjoao2

myjoao12
myjoao13
myjoao14
myjoao15
myjoao16
myjoao17
myjoao6


myjoao_midashi1

ーー

このあいだお会いしたときに、慶子さんが
「ジョアンを知った27歳の前と後では
人生がまるで違う」と言っていたのが、
とても印象的だったんです。

吉田慶子さん

(以下敬称略)

言ってましたね(笑)。

ーー

それも「人生が違う」というより
「ひとが違う」くらいの変化だったようで。
今日はその違いっぷりから
おうかがいしたいと思うんですが、
慶子さんは以前から音楽が好きだったんですか?

吉田

音楽は3歳からクラシックピアノを習い始めたのと、
子どものころは歌うのがうんと好きでした。
テレビやラジオの
「ちびっ子歌合戦」みたいなのによく出てて(笑)。
でも、ピアノは母親に「練習しなさい」と怒られたり、
発表会で競い合うような雰囲気になるのがイヤで
やめちゃって、
音楽もあまり聴かなくなりましたね。
多感な時期だからか、
男の子と交換日記をするほうが楽しかったり、
小学生のときは
「アタックNo.1」が好きだからバレーボール、
そのあとは「エースをねらえ!」に憧れてテニス、
というような学生時代でした。
で、高校を卒業してすぐに
両親にすすめられるがまま銀行に就職して。
「これがやりたい」といったこともとくになく。

ーー

夢はありました?

吉田

夢はとくになかったかなぁ。
私は東京生まれで、
小学校に上がる前に福島の南相馬に引っ越したんですね。
当時、南相馬で大人の仕事といったら、
市役所や地元の会社という選択肢しか身近になかった。
だから「アナウンサーになりたいな」くらいの
漠然としたものはあったけど、
そんなものは夢のまた夢。
叶うとは思ってなかった。
流されるがまま就職して、結婚して、子どもが生まれて。
そこからはもう怒濤の忙しさ。
だから音楽とも縁のない暮らしをしてましたね。

ーー

それが27歳でガラッと変わるわけですね?

吉田

そのころは仕事帰りに
小さなビルに入ってる本屋に寄るのが日課で、
その日もなにか本をと思って
エスカレーターに乗ったんです。
そうしたら音楽が聞こえてきた。
本屋の下の階がCDショップだったから。
明るくてせつない、
なんとも言い表せない感じの曲と女性の歌声で、
すごく惹かれて。

ーー

それまでも音楽は流れていたはずだけれど・・・・・・。

吉田

たぶん耳に入ってなかった(笑)。

ーー

ってことなんですね(笑)。
で、最初はジョアンじゃなかったんですね?

吉田

最初に聞こえてきたのはジョアンじゃなく、
マリア・クレウーザという女性の歌手だったんですけど、
すごく惹かれました。
すぐにCDショップに寄って、CDを買って、
次の日からはもう本屋に寄るのをやめて
CDショップに通うようになって(笑)。

ーー

本屋には行かなくなったんですか?

吉田

行かなくなりました。
かわりにCDショップに毎日通っては、
そのたびにCDを2~3枚買ってました。

ーー

それはもう、
恋に落ちたとしか言いようのない感じですね。

吉田

そう(笑)。
それまで自分のなかにこれといったものがなかったぶん、
うわーっと入ってきたんだと思いますね。

ーー

そこに至るまでに、
自分が変わる予感みたいなものってありました?

吉田

少し前から、毎日の暮らしのなかで
「あれ?」と思うことが増えてきてはいたんですね。
「わたしの好きなものってなんだろう?」
「わたしはなにをやりたいんだろう?」みたいなことを
考え始めて。
その流れのなかで離婚もしたし。
そのすぐあとなんですよ、ブラジル音楽に出会ったのは。

ーー

なるほど。

吉田

当時は経済的に独り立ちして
息子を育てなきゃいけないというのもあって、
仕事を3つくらいかけもちして忙しかったんですけど、
離婚を機に実家に戻って両親と一緒に暮らし始めたから、
気持ちに少し余裕ができたんだと思います。
その余裕にぽーんと入ってきたのがブラジル音楽だった。
もう、うれしくてうれしくてねぇ(笑)。
仙台に働きに行っていたから
往復の通勤時間が3時間以上あったんですよ。
電車のなかで、買ったCDをずーっと聴いてました。

ーー

毎日2~3枚買って。

吉田

だから、あっというまに300枚くらいになっちゃって(笑)。

keicoy1

photo by tobotobosan

ーー

うわぁ。全部ブラジル音楽ですか?

吉田

全部ブラジル音楽。

ーー

なんというか、極から極へ行った感じですね。
以前は「流されるがまま」だったのが・・・。

吉田

ほんとうは凝り性だったんですね、わたし。
自分でも気づいてなかったけど(笑)。

ーー

で、ジョアン・ジルベルトに出会ったのは
いつごろですか?

吉田

わりと早い時期ですよ。
ブラジル音楽、とくにボサノヴァといえば
(アントニオ・カルロス・)ジョビンとジョアン、
というのもあって。
でも最初はジョアンの良さってわからなかったの。
「なんだろう、このボソボソ声」って(笑)。
最初に聴いたマリア・クレウーザはね、
ジョアンと比べるとやっぱり華やかなんですよ。
でもジョアンは違うでしょ。
いちばん最初に聴いたのは
あまりメジャーではないライブ盤だったんですけど、
ボソボソ歌って、ボソボソ終わって、
また始まって、また終わる。
なんだろうこれ?って(笑)。
でも何枚もくり返し聴いているうちに、
「わたしが好きなものはこれだ!」って
わかっちゃったんです。 

<次回に続きます>


myjoao_sound1

myjoao_home myjoao_top myjoao_tsugi